Kちゃんが辞書をひいていて、「ハナクソ、って出てる!」と叫びました。妹のRちゃんも大騒ぎです。「ハナクソ、ハナクソ!」と二人で大笑いします。「ハナクソ、って出てた?ウンコもあるよ。」と私は挑発します。
「ハナクソ」という言葉に出合ってしまうのは、紙の辞書をつかっているからです。辞書をペラペラとめくっていたら、たまたま「ハナクソ」と書かれているところに目がいってしまったのです。電子辞書やスマホではこうはいきません。
私が、すくなくとも小学生のうちは紙の辞書をつかってもらいたいと言うのは、このような偶然の出合いがあるからです。言葉に偶然出合って、ボキャブラリーを豊かにしてもらいたいと思うからです。
人生におけるさまざまな出合いが偶然であるように、言葉との出合いも偶然です。たまたま読んだ本で、たまたまその言葉と出合うのです。そして、出合いはたまたまだからおもしろい。
言葉との、偶然の出合いをたくさんしてほしい。偶然の出合いをたくさんして、語彙を増やしてほしい。それが、私が紙の辞書をおすすめしている理由です。