2014年3月28日金曜日

そんなときどうする?

 生きているといろんなことがおこります。いろんな場面に遭遇します。
そんなときには考えなければなりません。決断しなければなりません。

 

 そんなとき、あなただったらどうしますか?
今回はシリーズで、いろいろな場面を想定し、自分だったらどうする?と話し合いました。

その1  種類も大きさも違うくだものが4つあります。そこに子どもが5人。
      どうやって分ける?

アリー塾長    :    さあ、どうしよう?
                (みんなの手がいきおいよく上がります。)

女の子       :    ぜんぶのくだものを、小さく切って、5人に同じように分ける。

男の子       :    ぼくも同じ。

アリー塾長    :    公平に分けるんだね?でも、もっといろんな分け方があるよ。
                じゃんけんで、勝った人から好きなものを選んでいくってどう?

女の子       :    そうすると一番負けた人が食べられなくなる。

アリー塾長     :   そうだね。でも、一番勝ったら、好きなものをたくさん一人で食べられる          
                 
                よ。

女の子       :    負けた人には私のを分けてあげる。

アリー塾長     :   ○○ちゃんはやさしいね。でも、そういうのはなしにしよう。それに、○○ちゃ     
                んが負けても、だれも分けてくれないかもしれないよ。みんなの納得のい
                く方法で分けないと。

 
                あ、それから、こういうこともあるかもしれないね。子どもの中にジャイア
                ンみたいな強い子がいて、かけっこをして、一番勝った人から好きなもの
                を選んでいこうって言ったらどうする?その子は一番大きなスイカをひと
                り占めするつもりなんだよ。

男の子       :   そうしたらぼくは、その子よりもっと速く走って、前に行ってじゃまをする! 


アリー塾長     :   そんなことをしたらけんかにならないかな?
                けんかをしちゃあ、やっぱりだめだよ。

女の子       :    話し合えばいい!!みんなで話し合って決めればいい!

アリー塾長     :   そうだねえ、○○ちゃん、いいことを言うねえ、本当にそうだねえ。
                みんなで話し合えばいいよねえ。

*  対話の後で女の子が書いた作文です。

「わたしなら、「みんなで話し合おう。」と言います。」

「(5人の中に)、わがままな人がいたとします。その子が「ぼく(わたし)は、このくだものじゃなきゃいやだ。」と言ったら、けんかになってしまいます。」

「その子に「みんな同じ数だけ分ければ、おいしいよ。」とおしえてあげればいいです。」


アリー塾長の一言

 
 
 「みんなで話し合う」は、これ以上ない大正解です。私がこの塾を主宰している理由も、この「みんなで話し合う」を存分に学ぶためです。

 ですが、現実に目を移してみると、この「話し合う」がとても難しいことに気づくでしょう。残念ながら世界には、まだまだ力をつかって欲しいものを手に入れている人が多いのです。

 そんな人にはどう話しかけたらわかってもらえるのでしょう?スイカをひとり占めしようとするジャイアンみたいな人には、なんと言ったらよいのでしょう?

 実は、「話し合えばいい」と言った女の子は、自分の気持ちや考えを人に伝えるのがあまり得意ではありません。とても気持ちのやさしいきちんとした子なのですが、まず相手のことを思いやって、自分のことは後回しにしがちです。

 女の子は、人を傷つけたり、人に傷つけられたりするのが怖いのでしょうか?彼女には、世界には、あなたの気持ちをわかってくれる人がかならずいるよ、あなたの考えに共感してくれる人がかならずいるよ、と言ってあげたいと思いました。

 話し合うときに一番大事なのは、実は気持ちなのかもしれません。そうすることが正しいからそうしよう、と言うのではなく、そうするとみんながいい気分になるからそうしよう、と言ったほうがいいのではないでしょうか。

 くだものを公平に分けると、みんな幸せな気分になって、ひとり占めして食べるよりずっとおいしくなるよ、と、ジャイアンみたいな子には言ってあげるといいかもしれません。そのときには、みんなで仲良くくだものを食べたいという気持ちを、一生懸命に伝えるといいでしょう。

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2014年3月20日木曜日

大人の自由、子どもの自由

 野生動物を自然に帰すお話の最終回です。

今回は、カモのヒナが大人になって卒業していきました。

カモは大人になって、これからは自由に生きていくことができます。

 カモの話から、「自由」がテーマになりました。



* 自由ってなんだろう?人間の場合、自由なのは大人?それとも子ども?

(今回は、3年生の男の子と女の子に、6年生のお姉ちゃんが議論に加わっています。)

アリー塾長     :     カモは大人になって、自由に生きていけるようになったけど、人間の

                  大人は自由かな?

6年生             大人は自由。大人は子どもが行けないような遠い所へも自由に行け
                  る。

アリー塾長     :     遠いところ?

6年生        :     海外とか。お母さんは、ムーミンが好きだから、北欧に行った。
   
                  サンタクロースのふるさとにも行きたかったって言ってた。

アリー塾長     :     ○○ちゃんも海外に行きたいの?


6年生        :     行きたいです。


アリー塾長     :     海外のどこに行きたい?


6年生        :     イギリスとか。お母さんの行った北欧にも行ってみたい。


アリー塾長     :     イギリス?いいねえ。どうしてイギリスに行きたいの?

6年生        :     インテリアに興味があって、建物とかも見てみたい。
   
                  それから、日本でいう天皇陛下みたいな人がいるのも興味がある。

アリー塾長     :     ああ、王室ね?女王様がいるんだよね。
 
                  いいねえ、いつか行けるといいねえ。

アリー塾長     :     さて、大人は行きたいところに行けるから自由、ほんとかな?
   
                  大人が自由じゃないときはないかな?
 
 

                  たとえば、お父さんはお仕事に行かないといけないよね?

女の子       :      お父さんは、朝早くから夜遅くまで働いている。

アリー塾長     :     そうだねえ。でも、○○ちゃんも、学校に行かないといけないよねえ。

女の子       :      学校には短い時間しかいなくてもいい。
 

                  そのあとは友だちと遊んだりできるから自由。
                  

                  子どもには仕事がない。

アリー塾長     :     学校では勉強しないといけないでしょ?

女の子       :      うん。おぼえなきゃいけないことがたくさんある。

アリー塾長     :     だったら子どもも自由じゃないときがあるよね。

生徒全員      :     (うなずく)


アリー塾長の一言

 
 どうやら、人間の場合、大人にも子どもにも、自由と不自由があるようです。そして、自由とは、自分のしたいことができることのようです。大人だったら自分の行きたいところ、たとえば海外へも行けること、子どもだったら、お友達と自由に遊ぶことです。
 


 対話の後に6年生のお姉ちゃんが書いた作文は、なんだかすてきでした。

「(大人の自由と子どもの自由を比較したあとで)自分は大人がいいなと思いました。お酒も飲めるのでいいなと思いました。早く大人になりたいという事ではなく(、)大人の雰囲気をあじわいたいなと思いました。」

「これからも今を楽しく過ごしていって、大人になったら子供の時よりも楽しい生活を送っていきたいです。」

 6年生のお姉ちゃんは作文を書くとき、「雰囲気」という言葉を、辞書で確認しながら書きました。言葉は正確につかいたいので、とてもよい習慣が身についてきたなと思いました。

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2014年3月17日月曜日

大人になるということ

 今回も、親とはぐれたり傷ついたりした野生動物を、保護したのちに、自然に帰すというお話の続きです。主人公の野生動物は、カワセミでした。

 
 
 

 子どもの野生動物を保護したときは、人間が親の代わりになって、育てて、大人にしてから自然に帰さなければいけません。


 
アリー塾長     :     大人になるってどういうこと?

女の子        :     自分の力で生きていけるってこと!どこかに書いてあった。

アリー塾長     :     そうだねえ、そうだったねえ。
                  じゃあ、自分の力で生きていけるってどういうこと?

女の子        :     自分でエサをとれる。

アリー塾長     :     そうだねえ、まずそれだよね。自分でエサをとれなかったら、おなか
                  をすかせて死んでしまうよね。
                  ほかにはないかな?

男の子        :     自分で自分を守ることができる。

アリー塾長     :      ああ、よく気が付いたねえ。自然の中には危険がいっぱいあるよ   
                  ねえ。自分よりもっと強い生きものに食べられてしまうかもしれない  
                  し、お天気だって、暑かったり寒かったりするよねえ。

アリー塾長     :     ところで、みんなは大人かな?

全員         :     違う!

アリー塾長     :     じゃあ、何?

全員         :     子ども!

アリー塾長     :     どうして子ども?

全員         :     一人で生きていけない。

アリー塾長     :     そういうことだよね。
                  お母さんと、お父さんがいるから、生きていけるんだよね。
          

女の子        :     お父さんが働いて、お金を稼いできてくれるから、生きていける。

アリー塾長     :     お父さんだけ?お母さんは?

男の子        :     お母さんは、ご飯をつくってくれる。

アリー塾長     :     それだけ?

男の子        :     洗濯してくれる。

アリー塾長     :     あと、お掃除もしてくれるよね。

男の子        :     (うなずく)


* 対話の後で女の子が書いた作文です。

「大人になるためには(大人になるということは)、カワセミの場合、一人で、エサをとって、てきから自分で身を守るということです。」

「人間の場合は、自分ではたらいて、ごはんをつくったり、そうじをしたりすることです。今は、お母さんや、お父さんがやってくれているから、大人になったら自分で、できるかなと思ったけれど、
がんばりたいです。」

「わたしも、カワセミなどの、野せいの動物は、野せいに帰してあげたいなと思いました。なぜなら、ずっと人間にたよっていたら、自分でえさもとれないし、もしてきがきても自分でにげられないから、もしかい主が、病気とかで死んでしまったら、てきから身を守れなくて、すぐに死んでしまうからです。」


アリー塾長の一言


 女の子の作文は、つたない表現ながら、今回の授業の内容を要領よくまとめています。テーマの理解と再構成はよくできているといえるでしょう。

 

 ただ、対話のときもそうでしたが、もう少し話が深まるとおもしろかったなあと思いました。たとえば、カワセミにとって、自然に帰ることは幸せだったのか?とか、自然に帰って、自分の力で生きていくことは、自由を意味することなどに話をもっていければよかったと反省しました。


 このような動物のテーマでは、動物を擬人化して、生徒に動物に感情移入してもらうと話が深まるのかもしれません。


 
 なお、議論を深めるヒントは、女の子の作文の最後にありました。「どうしてカワセミを自然に帰すのがよいのか?」という質問をすればよかったのです。


 子どもは、疑問が増えれば増えるだけ考えるようになります。子どもには、大人が良質の質問をたくさんしてみる必要があります。私自身が、今後の課題を与えられた授業でした。


* 「ことは塾」のホームページを開設しました。
      URLは、http://www.ko-to-ha.com/です。