今回も、親とはぐれたり傷ついたりした野生動物を、保護したのちに、自然に帰すというお話の続きです。主人公の野生動物は、カワセミでした。
子どもの野生動物を保護したときは、人間が親の代わりになって、育てて、大人にしてから自然に帰さなければいけません。
アリー塾長 : 大人になるってどういうこと?
女の子 : 自分の力で生きていけるってこと!どこかに書いてあった。
アリー塾長 : そうだねえ、そうだったねえ。
じゃあ、自分の力で生きていけるってどういうこと?
女の子 : 自分でエサをとれる。
アリー塾長 : そうだねえ、まずそれだよね。自分でエサをとれなかったら、おなか
をすかせて死んでしまうよね。
ほかにはないかな?
男の子 : 自分で自分を守ることができる。
アリー塾長 : ああ、よく気が付いたねえ。自然の中には危険がいっぱいあるよ
ねえ。自分よりもっと強い生きものに食べられてしまうかもしれない
し、お天気だって、暑かったり寒かったりするよねえ。
アリー塾長 : ところで、みんなは大人かな?
全員 : 違う!
アリー塾長 : じゃあ、何?
全員 : 子ども!
アリー塾長 : どうして子ども?
全員 : 一人で生きていけない。
アリー塾長 : そういうことだよね。
お母さんと、お父さんがいるから、生きていけるんだよね。
女の子 : お父さんが働いて、お金を稼いできてくれるから、生きていける。
アリー塾長 : お父さんだけ?お母さんは?
男の子 : お母さんは、ご飯をつくってくれる。
アリー塾長 : それだけ?
男の子 : 洗濯してくれる。
アリー塾長 : あと、お掃除もしてくれるよね。
男の子 : (うなずく)
* 対話の後で女の子が書いた作文です。
「大人になるためには(大人になるということは)、カワセミの場合、一人で、エサをとって、てきから自分で身を守るということです。」
「人間の場合は、自分ではたらいて、ごはんをつくったり、そうじをしたりすることです。今は、お母さんや、お父さんがやってくれているから、大人になったら自分で、できるかなと思ったけれど、
がんばりたいです。」
「わたしも、カワセミなどの、野せいの動物は、野せいに帰してあげたいなと思いました。なぜなら、ずっと人間にたよっていたら、自分でえさもとれないし、もしてきがきても自分でにげられないから、もしかい主が、病気とかで死んでしまったら、てきから身を守れなくて、すぐに死んでしまうからです。」
アリー塾長の一言
女の子の作文は、つたない表現ながら、今回の授業の内容を要領よくまとめています。テーマの理解と再構成はよくできているといえるでしょう。
ただ、対話のときもそうでしたが、もう少し話が深まるとおもしろかったなあと思いました。たとえば、カワセミにとって、自然に帰ることは幸せだったのか?とか、自然に帰って、自分の力で生きていくことは、自由を意味することなどに話をもっていければよかったと反省しました。
このような動物のテーマでは、動物を擬人化して、生徒に動物に感情移入してもらうと話が深まるのかもしれません。
なお、議論を深めるヒントは、女の子の作文の最後にありました。「どうしてカワセミを自然に帰すのがよいのか?」という質問をすればよかったのです。
子どもは、疑問が増えれば増えるだけ考えるようになります。子どもには、大人が良質の質問をたくさんしてみる必要があります。私自身が、今後の課題を与えられた授業でした。
* 「ことは塾」のホームページを開設しました。
URLは、http://www.ko-to-ha.com/です。
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