*その島に暮らす人たちは、週に一回、別の島で開かれる「交換の市」に行って、海でとっ た魚や貝を必要なものと交換します。
Yくん : バケツ5分の2くらいの魚を、マンゴー9個とトウモロコシ10本とバナナのふ
さ4つと交換するって、なんか変じゃない?
アリー塾長 : ん?どういうこと?もしかして、魚バケツ5分の2って、少ないってこと?
Yくん : うん。バケツ5分の2って、ちょっとしかない。それなのに、マンゴー9個
とトウモロコシ10本とバナナのふさ4つって多いと思う。
アリー塾長 : いいところに気が付いたねえ。確かにそうだねえ。じゃあ、なんでだと思う?
Yくん : うーん?
アリー塾長 : 価値の問題じゃないかな?
Yくん : 価値?
アリー塾長 : そう、価値。バケツ5分の2の魚をマンゴー9個とトウモロコシ10本とバナナ
のふさ4つと交換した人にとっては、魚が貴重で価値があったんだよ。
だからたくさんの品物と交換したんだよ。価値のある貴重なものは高いじゃ
ない?宝石なんてあんなに小さいのにものすごく高いでしょ?
Kくん : ぼくはマンゴーもトウモロコシもバナナもいらない。だって好きじゃないもん。
ぼくだったら魚をマンゴーやトウモロコシやバナナとは交換しない。
アリー塾長 : Kくんにとって、マンゴーやトウモロコシやバナナは価値がないんだね?
Kくん : うん。ぼくだったら魚を米と古着と交換する。
アリー塾長 : そっかあ。Kくんにとってマンゴーやトウモロコシやバナナは、米や古着より
価値がないんだ。 同じものでも人によって価値があったりなかったりするん
だね。価値は人によって違うんだね。ほかにも同じものでも価値が違うって
ことがある?
Yくん : 災害のときは食料が貴重。
アリー塾長 : そうだねえ、本当にそうだね。災害のときは食料の価値が高くなるよね。
価値って、人によっても変わるけど、ときや場合によっても変わるんだね。
そのほかにも、価値は場所によって変わるよ。国によって価値が変わるもの
があるからね。
みんなにとって価値があるものってなに?価値があることでもいいよ。
(ちょっと古びた洋書のポップアップ絵本を見せて)
私にとって価値のあるものはこれ。これは昔イギリスのロンドンから買って
きた本。今、こういう本、ロンドンに行っても売ってないんだよ。だから価値が
ある。
Yくん : …それから、その本には思い出がある。
アリー塾長 : そうそう!だから、私にとって価値がある。みんなはどうかな?ものでは
なくて、ことでもいいよ。
Rちゃん : 生きてることには価値がある!
アリー塾長 : 生きてること!?それはいい答えだね!!Rちゃん、生きてることにはなん
で価値があるの?
Rちゃん : 生きてると、楽しいことやうれしいことがたくさんあるから!
アリー塾長 : Rちゃん、生きてるって楽しい?
Rちゃん : うん!!
アリー塾長 : それはすばらしいことだね。生きてるって価値があるんだね。あ、それか
ら、みんなが生きてることに価値がある理由はほかにもあるよ。だって、み
んなが生きてると喜ぶ人がいるでしょ?
Kくん : あ、いる!
アリー塾長 : だれ?
Kくん : お母さん。
*アリー塾長の一言
物々交換の話から「価値」について考えることとなりました。対話の中にも出てきたように、同じものでも、人によって、ときと場合によって、あるいは地域によって、その価値は変わります。ものだけではなく、あることの価値も同様にさまざまな条件で変動します。
「生きていること」に価値を発見したのはすばらしいことでした。私も、まさかそんな答えが返ってくるとは予想していませんでした。
実は、べつの生徒も、生きていることには価値があると思ったそうです。そしてそのことをお母さんに言ったところ、お母さんは、「生まれたら生きるのがあたりまえだから、それでは答えにならない」とおっしゃったそうです。
ですが、あたりまえに生きるのは、もしかしたらそんなにあたりまえではないかもしれません。生きているといろいろなことがあるからです。最悪の場合、災難にあって、命を落としてしまうことすらあるからです。
そう考えると、Rちゃんの「生きてることは楽しい!」という答えはすばらしい!せっかく生きているんだから、毎日、楽しいことやうれしいことをたくさん経験したいものです。
http://www.ko-to-ha.com/
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