2014年4月19日土曜日

大人の影響

 

 対話の授業は、生身の人間同士、同じ時間、同じ場所を共有しておこないます。心と体をもった、生きている人間同士がひざを突き合わせて、同じテーマで考え、話し合うのです。そこが今どきのSNSなどのコミュニケーションとは違うところです。

 

 私たちは生きているので、その日によって当然コンディションが違います。体調が悪いときもあれば、悲しい気分のときもあります。それは子どもも同じです。子どもは大人のように取りつくろうことができないので、調子の悪いときにはうまくいきません。残念ですが、そんなときはよい話し合いができないのです。


 先日、○○くんは、入ってきたときから様子が変でした。目がきょろきょろと落ち着かず、私の話を聞いているときも上の空。もぞもぞと体を動かして、集中力がありません。テーマは前回の続き、「そんなときどうする?」でしたが、前回ほどの熱意が感じられません。


 前回○○くんは、テーマを聞いたとき、にやにやと笑いながら、「おもしろそう!」と言ってくれました。そして終始みんなで笑いながら、ときには大笑いしながら話し合ったのです。ところが、今回はニコリともしてくれません。質問をすると答えてはくれますが、やっぱりどこか視線が定まりません。

 

 当然ながら、今回はあまりよい作文を書いてはもらえませんでした。○○くんは、いつもは大人顔負けの鋭い言葉を織り込んだ作文を書いてくれます。「まあ、こんな日もあるかな?」と私はあきらめました。


 さて、実は、ことの真相が後で判明しました。○○くんがその日不調だった理由がわかったのです。○○くんは、その日出がけに、お母さんと一悶着あったというのです。お母さんは○○くんに、「帰りのお迎えには行かない!」と宣言されたそうです。


 ○○くんのお母さんの名誉のために言いますと、やさしいお母さんはそう言いながら、その日も○○くんをお迎えに来てくれました。お母さんが○○くんを見捨てるはずはないのです。でも、○○くんは、お母さんにお迎えに来てもらえないと思って、その日の授業が上の空になってしまいました。


 大人もそうですが、子どもは特に素直なので、その日の気分が直接成果にあらわれます。子どもにその能力を十分に発揮してもらおうと思ったら、まず、よい気分になってもらわないといけません。よい気分とは、幸せな気分ということです。


 そして幸せな気分とは、不安のない、満ち足りた気持ちのことです。お母さんをはじめとした大人に見守られ、信頼されているという感覚です。自分のことを信じてもらえ、ありのままの自分が受け入れられていると感じていると、子どもはもてる才能を最大限発揮します。


 子どもを幸せな気分にするコツがあります。それは、お母さんはじめ、まわりの大人が幸せな気分でいることです。子どもはお母さんが大好きです。お母さんが幸せでいてくれることが何よりもうれしいのです。


 お母さん、もうお気づきですよね?そんな子どもをもったことが、この上ない幸せだということです。


http://www.ko-to-ha.com/

 

0 件のコメント:

コメントを投稿