「ことは塾」は、千葉県千葉市を拠点とした、対話型の国語(日本語)と作文の専門教室です。この未曾有の変化の時代に、自分で考え、意見を伝えられ、行動のできる人材を育てることを目的としています。このブログでは、実際のクラスで行われた対話の様子や、日ごろ気づいたことなどをつづっていきます。 日本人の母語である日本語は、日本文化特有の価値意識や思考形式そのものです。「ことは塾」は、その日本語をつかった「対話」によって、生徒の考えを引き出します。生徒は日本語の対話をとおして、自身の思考を深め、日本語で考え、日本語で表現していくことを学びます。 * 対話の中の「アリー塾長」は、ことは塾塾長もりいのニックネームです。
2014年2月19日水曜日
保護区という考え方
「きつねの家族は子ぎつねのためにえさを取りに行き、わなにひっかかって殺されてしまいました。」
野生動物を保護して診療している獣医師さんの記事を読みました。
* 記事のあらすじ
鶏を盗んで暮らしているキツネの夫婦がいました。鶏を盗まれて怒った人が、あるときワナをしかけ、キツネ夫婦を殺してしまいます。あとに残った子ギツネが診療所につれてこられました。
冒頭にあげたのは、記事を読んだ女の子(小学校6年生)の作文の書きだしです。そのあとはこう続いています。
「私はなぜ親ぎつねを殺さないといけなかったのかと思いました。」
「殺さない方法はないのかなと思いました。」
そして、女の子は、キツネを「殺さない方法」を考えて、こう書きました。
「キツネをちがう場所に移すか、森にさくをつくり、キツネのはんいを決める事を考えました。キツネのことを考えると、はんいは広くしたほうがよいと思います。」
「親ギツネは子ギツネのために一生懸命えさをとっているんだなと思いました。」
「キツネを違う場所に移すか、森にさくをつくり、キツネの範囲を決める」というのは、キツネの保護区をつくるという考え方です。
野生動物の保護・繁殖のために保護区をもうけるというのは、実際におこなわれていることです。保護区をもうければ、動物は人間と争わずに生きていけます。人間も動物の被害にあうことがなくなります。
女の子は、子どものために「一生懸命えさをとっている」親ギツネが殺されなければならなかったことに心を痛め、なんとか解決法はないかと考えました。それが、保護区という考え方だったのです。
アリー塾長の一言
作文を書いてもらうときに、テーマの中から問題点を見つけ、その解決法を考えて、作文に書いてほしいと注文をだすことがあります。
今回の女の子の作文は、そのような注文に答えてくれるものになりました。今回の作文のように、じょうずに三段落で書けないことも多いので、この作文は成功例と言ってよいと思います。
6年生の女の子は、とてもやさしいお姉ちゃんです。お姉ちゃんのやさしい気持ちが、キツネと人間の問題をなんとか解決したいと思わせたのでしょう。
やっぱり人間、最後は気持ちなんだな、と思いました。強い気持ちがあるから、なんとかしようと思うんですよね…。
http://www.ko-to-ha.com/
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