国語の問題集や試験で取り上げられる問題文には、植物について書かれたものが時々あります。科学的な文章の読解が課題なのです。それぞれの問題文は、いずれも植物学の専門家によって書かれたものの抜粋で、そこだけ読んでもとてもおもしろいよい文章です。
先日私は、そのような問題文の一つに、とても興味を惹かれました。その文章によると、どんなに都市化が進んでいる地域でも、雑草に代表される自然は、そこここで見ることができるということでした。その真偽を確かめるには、この季節がぴったりです。私は買い物に行く途中、都市の中の自然を発見するべく、観察してみることに決めました。
すると、本当にありました!その観察の結果が上の写真です。タンポポ、オオイヌノフグリ、ネコジャラシ、スミレ、それにヨモギまでありました。摘み草をして、草だんごだってできます。
私の住んでいるところは繁華な商業地域で、アスファルトとコンクリートでできたものが大半です。私もコンクリートでできた建物に、もう十二年も住んでいるのです。そんなところで、さまざまな植物が自生しているのを発見したのです。
草花はけなげに、また大変たくましく生きています。歩道のブロックと駐車場のアスファルトの継ぎ目のところには、タンポポが生えています。道路のアスファルトと、民家のブロック塀の接しているところにできたすき間に、スミレが咲いています。街路樹の植わった小さな地面には、ネコジャラシが生えています。
そして私は、ここで二つ目の発見をしました。それは、こんな発見をするということについての発見です。
私は、この地域に住んでもう十二年になります。ところが、かつて一度でも、今回発見したような身の回りの自然に気が付いたことがなかったのです。十二年もの間、何度もとおっている歩道と駐車場の間に咲いていたタンポポに気が付かなかったのです。
このことは私に、重要なことを気付かせてくれました。それは、「ないと思っているものを発見することはできない」ということです。今回タンポポを発見できたのは、「あるかもしれない」と思ったからです。
この二つ目の発見は、すべてのことに言えるのではないでしょうか?ないと思っているものは、そこにあっても見えない。ないと思っているものは、その人にとって文字通り、ないも同然。ないと思っているものは、ないのです。
すべてのものが生き生きとする春から初夏は、私のもっとも好きな季節です。この季節だから今回のような発見があったんだなあ、では、冬には何も見つからないのかなあ、などとさみしく感じながらまた思い出したことがありました。
もう一昨年のことになりますが、ここに住んで十一年目にして、自宅のベランダからオリオン座が見えることに気付いたのです。全天でもっとも明るい恒星のシリウスも見えました。この辺りは夜でも明かりがこうこうとしているため、星なんて見えないと思っていたのですが、空気の澄み切った真冬には、見える星もあったのです。
見えないと思っているものは見えない、ないと思っているものはない。ないと思っているからない、あると思っているからある、これは真理です。ですから、あるかもしれないと思うと発見が、できるかもしれないと思うと成功があるのではないでしょうか?ある、と思うことは、想像以上に大事なことなのかもしれません。
http://www.ko-to-ha.com/
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